遂にボアアップしたFIプレスカブ(97cc)の公道デビューです。自宅庭の試運転で判明したエンジンの問題を修正してから近所のお山に登ってみました。
環境
前回にキャブレター仕様カブのシリンダーを流用して97ccとなったFI仕様プレスカブです。
- 2008年式プレスカブ(JBH-AA01) 97ccボアアップ済み
- フロントスプロケット:15T
- リアスプロケット:42T(ノーマル)
まず実走する前に見つかった問題
ボアアップ後にしばらくアイドリングしてみた結果、以下の問題が見つかりました。道に出る前にこいつを修正してやる必要があります。
- シリンダ圧縮圧力が高すぎる(エンジン常温時の測定結果:17kg/cm2、サービスマニュアルでは暖気して14kg/cm2が標準値)
- エンジンのシリンダー/クランクケース間あたりでオイル漏れがある
改善策
まず圧縮を下げるにはどうするかなのですが、ここは一番お手軽にベースガスケットの厚みを増やすことで対処することにしました。オイル漏れについては液体ガスケットを塗布して様子を見たいと思います。
使用したもの
- 汎用ガスケットシート(厚み0.5mm)
- 液体ガスケット
ヘッドの状態を見る
早速エンジン腰上を分解していきます。ボアアップしてしばしアイドリングしただけではありますが、どうなっているかぁと見るとなんとバルブに怪しげな痕跡が。。。ピストン表面から打痕を見つけることは出来ませんでしたがシリンダーとバルブが接触していたような気配があります。圧縮高すぎる以前の問題でベースガスケット厚み増は必須なようです。
(追記)
よく見るとピストン表面に思い切り打痕がありました。ベースガスケット厚みは1.0mm以上要りますね。
加えて、どうもヘッドガスケットを加工したときにバリ取りが不十分だったらしくヘッドに傷が(もしかするとガスケットが微妙に内側に飛び出しているのかも)。#400くらいのペーパーでガスケットの加工部分のバリを取りました。もしかすると2回目に広げた時にバリ取り忘れてたのかも。うーむ。。。
ヘッドとシリンダー間にはオイル漏れの痕跡は無いようでしたが、念のため、ヘッドガスケットにも液体ガスケットを塗布しておきます。
ベースガスケットを3枚重ねとする
前回計測時には圧縮圧力が17kg/cm2と出ていました(しかも冷間時)。こいつを下げるのとバルブヒット対策を兼ねてベースガスケットの厚みを増やします。
手元にある汎用ガスケットシート(厚み0.5mm)から2枚追加で切り出して3枚重ねることにしました。これで厚みは0.5mm -> 1.5mm(0.5mm x 3枚)となります。圧縮も下がってくれるはず。
また、どうもこの箇所からオイルが漏れているようだったのでガスケットシートに液体ガスケットを塗布することにしました。3枚それぞれ脱脂してからペタペタと塗ってからガスケットを挟んでやります。使ったのは以前にモノタロウで購入した液体ガスケットです。
オイルリターン経路からの漏れを塞ぐ
ガスケットに液体ガスケットを塗布したものの、試乗した後に確認するとシリンダーとクランクケース間でオイルが漏れていました。場所はオイルリターン経路の継ぎ目あたりだと思います。この箇所は元々の穴を塞がずにドリルでズレている分を拡張したのですが、元の穴を塞いでから加工すべきでした。
今回は漏れているあたりに液体ガスケットを盛りました。ひとまず効いているようで同じ個所からのオイル漏れはなくなりました。
ガスケット3枚重ねの圧縮圧力
上記対策を行った後にコンプレッションゲージを使って圧縮圧力を計測しました。今度は暖気してエンジンが温まってから行うことにします。いつも通りにコンプレッションゲージを接続してスロットル全開でキック連発です。ゲージの値を確認すると約14kg/cm2でした。いい感じです。
試乗する
フロントスプロケットは15T
先日に排気量変更を行ってピンクナンバーを受領してきました。これを装備すれば晴れて(制度上は)原付から解き放たれます。まぁまともに走ってくれるかドキドキものですが。
スプロケットは手元にあるうちで一番ハイギヤードなフロント15T/リア42T(ノーマル)としました。50ccでは力不足が目立ちましたが、なんぼなんでも97ccなら走ってくれるだろう、と期待します。
簡易インジェクションコントローラを設置する
エンジン始動テストではブレッドボードとミノムシクリップという構成でしたが、さすがに試乗するのにはまずかろうということでユニバーサル基板でもうちょっとまともなのを作りました。こいつを搭載してアイドリングすることを確認して準備完了です。
いざ公道へ
ボアアップ構想からほぼ1年を経過してついに公道デビューです。バイク的にもそうですが、私個人としても原付区分から脱しての初デビュー(原付免許以外持っていなかった)となるわけでして・・・いきなり交通量のある道を走るのは躊躇われます。エンジン的にも不安なのでご近所をトコトコと原付スピードで走行して問題なさそうなのを確認してから近所のお山に足を向けることにしました。途中にある坂はそこそこの傾斜があり、50cc時代は2速全開でずるずるとスピードが落ちていました。最後に待ち構える劇坂は1速でないと登りません。どれくらいトルクアップしたのか楽しみです。
ボアアップ直後なので回転数は抑えながら(諸事情でタコメータを外してしまったので感ですが)坂道にアタックしました。当たり前っちゃ当たり前なんですがそこまでスロットルを開けなくてもしっかり登ってくれます。この時点では問題ありませんでしたが、加速すべくがばっとスロットルを開けてみるとエンジンからがくがくと振動がしました。まだ燃調が薄い?のでしょうか。スロットル全開はマズイようなのでまったりと登っていきました。最後の劇坂も2速で登れました。
が、ここで坂道を登り切ってふと足元を見るとオイルが焼けた香りと白煙が! 登ってきた道を振り返ると笑えるくらいに白い煙が立ち込めていました(衝撃的すぎて写真撮るの忘れました)。後で調べてみるとオイル漏れ(オイルリターン経路の継ぎ目から漏れていた)が完治しておらずエキパイの上にこぼれたオイルが焼けていたのがひとつ、もうひとつは発進前にオイルを足したのが蛇足だったようでオイルゲージの上限より多く入っていたようです。それが坂道走行の高負荷でブローバイ増加->クランクケースのブローバイホースからオイル噴出->吸気に混じった大量のオイルが燃えた、というところでしょうか。最初はヘッドの密着が甘くてオイルラインから直接漏れているのかと思い焦りました。
その後に山を下りてちょろっと走ってから帰宅、オイル漏れ箇所に液体ガスケットを塗りつけて応急処理してこの日は終了となりました。後日にインジェクションコントローラの設定を変えてもう少し濃くしてから同じルートに再挑戦したところスロットル操作時のエンジン振動は改善しました。やはり薄かったようです。オイルを少し抜いてみたところ白煙もかなりマシになりました(まだ多少噴いてましたが・・・オイルキャッチタンクつけたら改善するだろうか)。
所感
現状としてボアアップ前から比較すると、
- きつい坂道がそれなりに登れるようになった(トルクアップを実感)
- トップスピードはあまり変わらない
- 振動が増えた
- まだ燃調が怪しいようで、急坂でスロットルを開けるとエンジンががくがく振動する(ノッキング?)
といった感じです。やはりローギヤードなせいかスピードが出ません。次はスプロケットをハイギヤードな設定にして走ってみようと思います。インジェクションコントローラの改良も必要ですね。気になる燃費の計測を行うにはもう少し時間が要りそうです。