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[カブ] ボアアップと圧縮比

カブのシリンダー

サービスマニュアルを見ると、私のプレスカブ50に載っているエンジン(AE02E)の圧縮比は10:1です。ボアアップした場合は当然ながら圧縮比も変化しているはずです。サービスマニュアル等に記載されているデータを参考に計算してみました。

 

環境

我が家のプレスカブは2007年式FI仕様車です(エンジンカバーが黒いやつ)。これをベースに考えてみます。

思い付きと勢いでボアアップする前に一呼吸おいて検討すれば、私のようにアチャーという結果は防げるかも(?)

ノーマルエンジンの圧縮比

そもそも何も弄っていない純正エンジンの場合で圧縮比はどれくらいなのでしょうか。手元にある資料で分かる範囲のものを書き出してみました。

ご覧のようにカブ50以外はいずれも9:1が標準のようです(カブ50だけが10:1なのはシリンダー直径が小さくてノッキングが発生しにくいからではないかと推測しています)。

また、ホンダ以外のバイクについても少し調べてみると、こちらは意外と圧縮比高めのようです。燃費を意識した設計なのでしょうか。

スズキ

ヤマハ

 

圧縮比の求め方

使用する公式

エンジンの圧縮比は以下の計算式で求めることが出来ます。

また、圧縮圧力(kPa)は以下の式で求めることが出来ます。

ただ、この値はバルブタイミングや漏れ等を考慮していないので実際の測定値とは異なります。手元にあるサービスマニュアルでは以下が標準値になっていました。

詳細は以下の記事が参考になるかと思います。

 

燃焼室の容積

式を見ると分かるように圧縮比を計算するには燃焼室の容積が必要です。しかしサービスマニュアルに排気量(シリンダ径xストローク長)の記載はありますが、燃焼室については記載がありませんでした。そこで分かっている圧縮比と排気量から値を求めます。

カブ50の場合

カブ110の場合

計算してみると、カブ50の燃焼室はとても小さいですね。

FIカブ50のヘッド。とても小さいです。

 

ボアアップした場合の圧縮比を計算してみる

社外メーカーが販売しているボアアップキットを使ったのなら説明書に記載があると思いますが、そうでない場合は自分で計算する必要があります。

(例1) FIカブ50ヘッド + ヤフオク97ccボアアップキット(キャブレター車用) + カブ90互換クランク

以前にヤフオク97ccボアアップキット(キャブレター車用)を加工してFIカブ50にくっつけたことがあります。シリンダーとクランクは交換してヘッドはFIカブ50のものをそのまま使いました。この場合の圧縮比を計算してみると、

なんと18.7:1となりました。ピストン形状が異なるので実際はもう少し低くなると思いますが、まるでディーゼルエンジンのような高圧縮です。マツダのSKYACTIVE-Xは圧縮比14:1でこれが市販車ガソリンエンジンの最高峰だそうなので、それ以上となるとノッキング祭りになるのも納得です(しかし、こんなのでよくアイドリングしたなぁと思います・・・)。

(例2) FIカブ50ヘッド + ヤフオク97ccボアアップキット(キャブレター車用) + カブ90互換クランク + ベースガスケット厚1.0mm追加

次に先ほどのエンジンのベースガスケット厚みを1mm増やしてみるとどうなるでしょうか。ピストンが上死点位置で1mm低くなり燃焼室が増えるので、

まだ高いですが、最初よりはぐっと低くなりました。が、このセッティングで近所を走ってみたところ、平地はともかくとして急な坂道に差し掛かると鈍い私でもわかるくらいのノッキング音がしました。ハイオク(正確にはハイオク:レギュラー=1:1くらい)を試してみると大分マシにはなりましたが完全には無くなりませんでした。

しばらくテスト走行してからヘッドを開けてみるとノッキングと思しき痕跡がくっきりと。このエンジンでツーリングは無理ですねぇ・・・

(例3) FIカブ50ヘッド + FIカブ50シリンダー + カブ90互換クランク

これはまだ試行中でエンジンがかかるかどうかも不明ですが、シリンダー/ヘッドをFIカブ50のまま使ってそこにカブ90互換のクランクシャフトを組み合わせるというものです。この場合の排気量はというと、

ストロークが41.4mmから49.5mmになって排気量は約2割増しとなりました。そして圧縮比は、

となります。これならいけるでしょうか。もう少し抑えるためにベースガスケットをもう一枚重ねて0.5mm増やすと、

となります。

97ccボアアップ計画に続き59cc計画を進行中です。これなら走ってくれるのではと期待しているのですが・・・どうなるかな

 

参考

この記事は以下の内容を参考に記載させて頂きました。

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