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[カブ] FIカブ50のカブ90クランク流用による排気量アップに挑戦(その4)

先日にスペーサ厚みを15mm->13mmとしたところエンジンからやかましい金属音が鳴り響くようになりました。スペーサ厚みの問題を見つけて修正はしたものの改善しません。新たにカムチェーンにテンションがかかっていないのと、シリンダーとクランクアームが干渉している可能性がありガスケットを追加して改善を試みます。

 

鳴り止まぬ金属音、というか打音

前回にこれが原因だっ、とスペーサ厚みの偏りを修正して組み込んだものの、試運転してみるとやっぱり音がします。並大抵の音量ではなく、家族曰く「近所で道路工事しているかと思った」というレベル、ピストンとヘッドが当たっていると言われれば信じるでしょう。

しかし、もう一度ばらして見ても燃焼室もピストンにも打痕はありません。キックして響いてくる音をよく聞くとクランクケースから響いてくるような気もしますが。。。

カブのエンジン
いったい何処から音がしているのか・・・再び分解して原因を探します。

 

異音の原因(予想)

シリンダーとクランクアームの干渉

駄目元でカムチェーンをタイミングスプロケットから外した状態でクランクを回してみました。やはり音がします。こうなると腰上は関係ありません。

ここでふと昔に50ccシリンダー+カブ90クランクを検討した時の記事を見返していて気付きました。エンジンを分解したときにカブ90クランクと50ccシリンダつけてスペーサ厚みを検討したときの写真を見ていて、もしかしてシリンダーとクランクアームが当たっているのではないか、と。

FIカブとカブ90互換クランクシャフト
そういえば、FIカブ50シリンダーとカブ90クランクの組み合わせで奥まで突っ込んだ場合はクランクアームが完全に当たっていました。今回はスペーサで下駄をはかせているので直撃ではないハズですが・・・もしや

だとすれば、スペーサを15mm->13mmに変更したときに異音が発生したことも納得がいきます。問題はその場を見るにはクランクケースを開ける必要があるので今すぐは難しいことです。細いUSBカメラを使えばケースを割らずに見れるだろうか。。。

 

カムチェーンが緩い

エンジンを分解したときに気付いたのですが、カムチェーンのテンションがかなり緩いです。本来ならテンショナーで調整されるはずなのですが効いていないような感じでした(バルブヒットの痕跡は無いので異音の直接原因ではないはずですが、気になるのでついでに調べました)。

カムチェーンテンショナー
パッと見ではテンショナーが問題なく機能しているように見えますが、実はチェーンがゆるゆるでした。

テンショナーのアームを見ると既に目一杯テンションをかけようとしている状態です。しかしカムチェーンを手で触るとかなりたわんでいることが分かります。これだけ緩いとバルブタイミングはかなりズレるのではないでしょうか。

テンショナーアームとプッシュロッド
プッシュロッドは目一杯テンショナーを押していますが、可動範囲が足りていません。
テンションローラー
テンションローラーが十分にカムチェーンを押し下げれていないのでテンションがかかっていません。

カムチェーンが緩くなっている原因として考えられるのは、

  • カムチェーンをカブ50標準92L->94Lに変更している
  • タイミングスプロケットからカムスプロケットまでの距離が短くなっている
    (FIカブ50+スペーサ13mmのシリンダ長:54.5+13=67.5mm、
    カブ90のシリンダ長:69mm)
  • クランクシャフトをカブ90互換に変更した
    (タイミングスプロケットの丁数がFIカブ50:16Tに対してカブ90:14Tと少ない
    =スプロケットの直径が小さい
    =テンションローラーとカムチェーンのかかりが浅くなる)

だと思います。よくあるのはゴムのブッシュがヘタっているパターンだと思いますが、今回はブッシュには問題ありませんでした。

 

対策する

ベースガスケット厚みを増やす

クランクを手でまわした時に何かに接触したような感じはありませんでした。おそらく微妙な差で当たっているのだと思います(まともにヒットしていたら騒音以前にアイドリングしないかシリンダに打痕が残っていたはずです)。

本来はシリンダに逃げ加工をするべきだと思うのですが、今回はお手軽に0.5mmのベースガスケットを挿入して異音に変化があるか試すことにします。

カブのベースガスケット
実験的に0.5mm厚のガスケットを追加挿入してみます

 

カムチェーンテンショナーアームの可動域を広げる

カムチェーンが長すぎてテンションがかからないのであれば、短くできれば解決しそうです。しかし、現行の94Lから92Lにすると今度は短すぎてカムチェーンまで届きません。

カムチェーン
カムチェーン長さの違い(上:92L、下:94L)はパッと見では微々たるものですが、装着してみるとかなり大きく感じます

カブのカムスプロケット
92Lだと短すぎてカムスプロケットがつきません

そこでテンショナーアームを加工して可動範囲を広げることにしました。そうすればテンションローラーがもっと下までチェーンを押し下げテンションを維持できるはずです(アームは新品でも1000円以下なので思い切りよく加工してしまいました)。

アームはクランクケースに当たってそれ以上進まないようになっています。そこでアームとクランクケースが当たる部分を削ることで可動範囲を広げます。

カブのテンショナーアーム
加工するアームをエンジンから取り外す

テンショナーアームの加工
削る場所をマーキングしておきます。

テンショナーアームの加工
リューターで削っていきます。一度に深くまでやると失敗したときにリカバリーが効かないので、何度か削っては装着して確認を繰り返しました。

テンショナーアームの加工
わりと簡単に削れました。ヤスリでもいけそうです。

次にプッシュロッドが当たる部分に下駄をはかせます。大きな力はかからない部分なので、アルミの端材を切ってくっつけることにしました。接着にはJB Weldを使用します。

テンショナーアームの加工
適当なアルミの端材を使って下駄と作ります。丁度スペーサを作ったときの端材が役に立ちました。

アルミ加工
かな鋸でアルミ板に溝を掘ってアームをそこにはめ込めるようにします。単純に接着するよりは面積が増えるので強度が上がるはず。

テンショナーアームの加工
加工したアルミ板をJB Weldで接着します。硬化してからプッシュロッドのゴムと接触する部分をリューターで削って形を整えます。

加工したアームをエンジンに取り付けてカムチェーンの張り具合を確認し、丁度良い感じになるように何度か加工と確認を繰り返しました。プッシュロッドとの当たり面はもっと削ってテンションアームの可動範囲と合わせた方がよいと思うのですが、今回はこのままいくことにします。

カムチェーンテンショナーの加工
取り合えずはこんな感じになりました。これならカムチェーンも暴れないハズです。

 

試運転

エンジン始動

対策後にキックしてみると、おお、異音がしません。いい感じです。やはりクランクアームとシリンダーの干渉が原因の模様。ここで念のためシリンダ圧縮を計測しました。15mmスペーサ時より微妙に増えています(今回の件とは無関係ですが、この直後にコンプレッションゲージが破損するというアクシデントが・・・)。

キーONしてエンジン始動してみると、異音も無くやっとまともに動いてくれました!

コンプレッションゲージ
シリンダ圧縮は少し増えて約7kg/cm3となりました。・・・が、思ったより低くなるなるなぁ。もしかするとピストンリングが摩耗しているのかもしれません。

 

いざテストコースへ

しばらくアイドリングして様子を見た後、いつものテストコースに繰り出しました。

で、感想なのですが・・・乗り心地はあまり変化ありません。ただシリンダ圧縮は高くなっているようで坂道でフルスロットルにするような状況だとノッキングが発生するようです。燃料補正はしていないので燃調が薄いという可能もあります。

個人的に期待していた登坂性能についても現状ではあまり変化ありません(松尾寺直近の劇坂は1速でないと登らないです。せめて2速で登って欲しい)

また、大きな異音はしなくなったもののまだ微妙に干渉する部分があるのかクランクケースから微かに音がします。もう少し上げた方がいいのかもしれません。でもそれだと圧縮はかなり下がることになるので悩みます。やはりシリンダーを加工すべきなのか。。。

エンジンのオイル滲み
ガスケットを重ねた部分とシリンダヘッドカバーからオイルが滲んでいます。このあたりも対策が必要ですね。

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