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[レビュー] USB超音波加湿器

安価で販売されている超音波加湿器ですが、その中でも300円以下のものがあったのでひとつ購入してみました。どんな構造をしているのか分解してみます。

 

購入した超音波加湿器

今回購入したのはUSB電源で動作する超音波加湿器です。お値段は格安の259円也。Amazonで販売されているペットボトルタイプより更に安価です。
通販サイトを見ていると超音波振動子そのものは単価100円前後で販売されているのでどれくらい安いかよくわかります。いつも思いますが、こんな値段でよく作れるなぁ。

超音波加湿器
購入した超音波加湿器。珍しく(?)箱入りでした。

超音波加湿器
加湿器本体はこんな感じです。

 

水を張った容器に浮かべて使う

この加湿器は水を張ったコップ等に直接浮かべて使います。底部にセンサーがついていて水が無くなると自動的に停止してくれます。このタイプの加湿器を自分で使うのは初めてで、ドライミストはふわーっと漂う程度かと思っていたのが勢いよくドライミストが噴き出して驚きました。これは私の使用用途的にもGoodです。

超音波加湿器
容器に水をはって浮かべるとドライミストが噴き出します。

 

分解してみる

ケースを割る

機能というと水に浮かべるとドライミストが噴き出して終わりですが、どんな構造をしているのか気になったので分解してみました。なお、ケースは接着剤でがっちりと固定されているのでバラすと元には戻せません。加湿器の側面にある溝に細いマイナスドライバーを突っ込んでぐりぐりとこじってやれば半分に割れます。

超音波加湿器の分解
ケースを割って中身を拝見します。

 

回路

ケースを割ると中には本体たる超音波振動子と基板が見えます。基盤のIC型番はシルクが削られていて分かりませんでした。ざっと回路を追いかけてみた感じだと、単純に水位センサを見て超音波振動子の駆動パルスを生成しているだけのようです。

加湿器の超音波振動子
加湿器に使われている超音波振動子

超音波加湿器の基板
加湿器の制御基板(部品面)。ICのシルクは削られていました。

超音波加湿器の基板
加湿器の制御基板(はんだ面)

手書きで見にくいですが、回路図を書いてみました(リードタイプで3端子のコイルとかあるんですね)。直列の共振回路になっているのかな。

超音波加湿器の回路
制御基板の回路図(ざっと見ただけなので間違っているかも)

3端子のコイルを探して見ると以下のサイトが見つかりました。同じものではないですがご参考までに。

 

超音波振動子

私が調べた限りでは、超音波加湿器に使われている振動子は2種類あるようです。

  • 水面下に沈めて使用するタイプ
  • 水に沈めず振動子の片面に何らかの手段で水分を供給するタイプ

水面下に沈めて使用するタイプは動作させると水面から霧のように水が噴き出します。私が超音波加湿器と聞いて想像していたのはこちらでした。この場合は霧は水面付近に留まるので加湿器ではファンを使って容器から噴出させるようです。

もうひとつは振動子の片側に、例えばアルコールランプの芯のようなもので水分を供給すると、その反対側から霧状になった水が噴き出します。こちらはある程度勢いがあるのでファンは要りません。今回購入した加湿器に使われていたのはこのタイプでした。おそらくAmazonで見かけるペットボトルに取り付ける加湿器もこのタイプだと思います。

超音波加湿器の分解
振動子を取り外してみると、裏側にはスポンジがあります。ペットボトルタイプの加湿器だとここにスティック状のフィルターがついていて水を吸い上げているようです。

超音波振動子
超音波振動子の裏側。拡大してみると表面に細かい穴が空いているのが分かります。

超音波振動子
超音波振動子の表側。こちらは拡大しても穴が見えませんがここからドライミストが噴き出します。多分、もっと高倍率で拡大しないと見えないような微細な穴が空いているのだと思います。

参考までに超音波振動子のリンクを貼っておきます。振動子のサイズは色々あるようで16-25mmくらいのものが見受けられました。

 

超音波振動子の駆動波形

オシロスコープで振動子の駆動信号を見てみました。

超音波振動子の駆動波形
振動子直近で計測した波形

超音波振動子の駆動波形
ICとトランジスタ間で計測した波形。

この振動子のスペックは分かりませんが、上記の振動子をばら売りしているサイトを参考にすると

  • 動作電圧:DC3-12V
  • 消費電力:1.5-3W
  • 周波数:142kHz
  • 寿命:3000H以上

となっています。波形を見ると周波数はともかくとして電圧はかけ離れています。色々と調べてみたところ超音波振動子を使って水を霧状にするにはそれなりに高い電圧(40V以上)を必要とするとのことなので、サイトに記載されている動作スペックは振動子そのものの動作電圧ではないのかもしれません。

また、もう一方の水面下に沈めて使うタイプの場合は周波数は1.7MHzというのが多いようです。周波数が高い方が粒子は微細化するのでドライアイスのスモークのようなのが欲しい場合はなるたけ周波数の高いものを選ぶとよさそうです(ただ、本体にファンが必要になるので大きく=高くなるかも)。

 

消費電力を測る

最後に動作中の消費電力を調べてみました。USB端子にUSBテスターを挟んで電圧/電流を見てみると、

超音波加湿器の消費電力
超音波加湿器の消費電力

となりました。電流表示は160-200mAの間をふらついていました。消費電力は約1Wといったところでしょうか。

 

水の消費量を測る

(2018/03/14追記)

この商品のページには消費量の記載がありません。同タイプ(と思しき)の加湿器を参考にすると30ml/Hとありました。そこで1時間ほど動作させて前後の重さを比較してみました。するとざっくりですが40gほど減っていました。厳密に計測しているわけではないので誤差も大きいかと思いますが、概ねスペック通りのようです。

R0013362.JPG
試験開始時の重量は133.03g。

R0013363.JPG
試験後の重量は90.91g。

 

所感

このタイプの加湿器はレジオネラ菌やらが繁殖しやすいという問題はあるものの安くで手に入るのが魅力です。実はこれ、本来の目的である加湿器としてではなく、バイクのウォーターインジェクションに流用出来るのはなかろうか、という目論見から今回の購入&分解となりました。水に沈める必要がなくてファンも要らない振動子はまさにうってつけではないでしょうか30ml/Hの供給量で効果があるのか、という問題はありますが、そちらも実験してみて進展がありましたら記事にしたいと思います。

 

参考

この記事は以下の内容を参考にさせていただきました。

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