全開に続いてエンジンエミュレータネタです。FIカブの点火タイミングはECUで制御されていて、これは回転数に応じて変化しているはずです。もしボアアップして自分でサブコンを自作するとなると点火タイミングの制御がどうなっているか気になるところです。エミュレータを使ってどんな感じに点火タイミングが変化するのか調べてみました。
環境
前回と同じく手元にあるプレスカブのECUを使って確認をしました。
- プレスカブ50搭載ECU
- PGM-FI用エンジンエミュレータ
点火タイミングを調査する
サービスマニュアルの記載
サービスマニュアルを確認するとアイドリング時における点火時期の記載がありました。それ以外の記載はないので実際に観測してみないと分かりません。
- 点火時期(Fマーク):10度BTDC / 1700rpm
カブのフライホイールを確認してみると上死点マークの隣にFマークがあります。アイドリング時はここで点火するようですね(タイミングライト用?)。
エンジンエミュレータで点火信号を観測する
早速エンジンエミュレータを使って点火信号を観測することにします。エンジン回転数の変化に応じて点火タイミングも変化するはずです。
1700rpm(アイドリング)から10,000rpm近辺まで回転数を変化させ、クランクパルスと点火信号の関係をオシロスコープで観測しました。ch1(上)がクランクパルス、ch2(下)が点火パルスです。点火パルス信号はLowでコイル通電、High->Lowの立ち上がりでプラグから火花が飛びます。
1700rpm(アイドリング)
2000rpm
アイドリングからすると遅角しているようです。
4100rpm
2000-4100rpmは点火角に変化はありません。
4500rpm
4100-4500rpmにかけて少し進角しています。カブのエンジンは5500rpmで最大トルクを発揮するとあるのでそこに合わせているのかも(憶測です)。
7100rpm
4500-7100rpmは変化ありません。
8000rpm
7100-8000rpmにかけて少し進角しています。カブエンジンは7500rpmで最高出力とあるのでそれにあわせているのかも。
さらに回転数を上げていくと11500rpmあたりで点火パルスが出なくなりました。インジェクタは10000rpmあたりで動作しなくなりますが、プラグは11500rpmまで火花がとぶようです。
所感
点火タイミングの変化は想像していたのと少し違いました。回転数に応じてリニアに変化するのかと思ったのですが、回転数の範囲ごとに決められた角度で点火といった感じです(一応、点火角度が変化する境目ではリニアに変化してましたが)。謎なのは2000rpmあたりで遅角していることです。これ、なんででしょう・・・排気ガス規制の対策でしょうか。アイドリングだと燃焼速度が遅いので進角しているとか。まぁこんな回転数で走ったりはしませんがちょっと気になりました。
170Hzの交流でイグニッションコイル 1次側の電流が正逆に最大となる 30度刻みの位置でしかスパークできないのかな