私個人はエンジンをぶん回すより高燃費を目指した(つもりの)乗り方をしていますが、そもそもFIカブにリミッターはあるのでしょうか? 回転数が際限なくあがった場合にECUがどういった挙動をするのか、エンジンエミュレータを使って調べてみました。
環境
手元にあるプレスカブのECUを使って確認をしました。
- プレスカブ50搭載ECU
- PGM-FI用エンジンエミュレータ
エンジンエミュレータを使って燃料噴射時間を計測する
先日に作成したエンジンエミュレータを使って所望の回転数になるようなクランクパルスをECUに送って燃料噴射時間がどう変化するかを確かめました。ECUはエンジン回転数やスロットル状態に応じて燃料インジェクタ信号を出力します。信号はアクティブLOWで、その時間が燃料インジェクタのON時間=燃料噴射量となりますのでこれを計測してやればリミッターの有無が判別出来るはずです。
計測結果
各センサ値は固定して回転数のみを変化させたものを記録しました。その結果を以下の表に記載します。なお、スロットルは全閉としています。
RPM | InjectorON[ms] |
1500 | 3.16 |
2000 | 3.19 |
2500 | 3.30 |
3000 | 3.47 |
3500 | 3.94 |
4000 | 4.39 |
4500 | 4.43 |
5000 | 4.47 |
5500 | 4.40 |
6000 | 4.32 |
6500 | 4.24 |
7000 | 4.24 |
7500 | 4.18 |
8000 | 4.13 |
8500 | 4.12 |
9000 | 4.06 |
9500 | 4.04 |
10000 | 0 |
10500 | 0 |
11000 | 0 |
表を見てわかるように、回転数を上げていくとだいたい5,500RPM付近で燃料の供給量が減少に転じて10,000RPMになると燃料噴射が完全に停止しました。
よそ様のサイトでカブのレブリミットは9,800RPMという記載を見かけました。その付近で燃料噴射が停止することから、ECUにリミッターがあると考えてよさそうです(スロットルを開けた状態でも10,000RPMで燃料噴射は止まりました)。
所感
エンジンエミュレータがあるとECUの挙動を調べるのに便利ですね。仕様の勘違いなどがあってまだ模倣は不完全ですが、ちょくちょくアップデートしていきたいと思います。
ちなみに今回の燃料噴射時間を測定してみて、少なくとも2008年式プレスカブではエンジンが高回転で動作している状態でスロットル全閉にしても10,000RPM以下では燃料噴射が停止しないことが分かりました。つまりエンジンブレーキを効かせても燃料をくいます。エコな走り方をするのであればエンジンブレーキを必要以上に多様しないほうがよいかもしれません。キャブレター仕様カブと同じくギアをニュートラルにいれて惰性で停止位置まで走行が効果ありそう(私は運転下手くそなのであまりやりませんが)。